事業承継
そろそろ後継者に事業を引き継ぎたいが、どのように進めてよいかわからない。そもそも担い手がいない。M&Aという言葉は聞いたことがあるが、どうなのか?後継者には、なるべく経験させるようにしているが、本人の自覚は今一つ。建設業許可に関連する法律が変わったようだが、詳しい中身を理解しなくては・・・専門家がお答えします! また、勤務先の経営者やお取引先等から、事業を引き継いでもらいたいとの打診を受けた方からのご相談もお受けします。
事業承継とは
事業承継とは、経営者が他者に事業を引き継ぐことを指します。事業を継続していくためには、経営者が高齢化するなどの理由で経営管理が困難になる前に、事業承継を行う必要があります。
経営者の平均年齢は上昇傾向で、経営者が引退する平均年齢も70歳くらいまで上昇しています。
事業承継の種類
事業承継の種類には、主に以下の3通りがあります。
- 親族内承継=経営者の子息等親族に承継する。
- 親族外承継=役員、従業員等、親族以外の関係者に承継する。
- 社外承継=経営者と血縁や雇用などの関係を持たない外部に承継する。
社外承継の代表的な方法であるM&A(Mergers and Acquisitions=企業の合併・買収)は、主に事業の再編や新市場への参入のために他社または他社の事業を買収することを目的としますが、事業承継の手段としても普及しつつあります。かつて一般的であった親族内承継や親族外承継では、後継者の能力や資質の不足が障壁となる場合でも、より円滑な事業承継が期待されます。
建設業特有の課題
建設業が許可業種であることから、建設業法の許可を得ている場合、許可の承継も課題となります。根拠法となる建設業法は令和2年10月改正され、それまで不可能だった建設業者が事業の譲渡、会社の合併、 分割を行った場合の建設業許可の承継が可能となりました。これにより、建設業許可を取得し直すまでの営業の空白が生じなくなりました。
建設業にはその他、専任技術者の配置や経営事項審査、公共工事を請け負う場合は、一般競争入札参加資格についても留意する必要があります。
事業承継の進め方
ステップ1:準備
事業承継の必要性を認識し、専門家等に相談する。60歳までに行うことが推奨される。
ステップ2:現状把握
自社の経営状況や経営課題、強みや弱みを把握し、改善策を練る。
ステップ3:経営改善
技術力、営業力、顧客資産等の充実を通じた財務面の強化、並びにコンプライアンスやガバナンスなどの経営管理面を強化して、企業としての魅力を高める。
ステップ4-1:計画策定(親族内・従業員承継の場合)
中長期経営計画と、それに基づく事業承継計画を、後継者を交えて策定する。
ステップ4-2:マッチング実施(社外への引継ぎの場合)
M&A仲介機関を選定し、売却条件を検討した後、買収元企業を募り、買収条件等を交渉する。
ステップ5:事業承継の実行
参考資料: 中小企業庁「事業承継ガイドライン」